○伊勢市男女共同参画推進条例
平成19年3月30日
条例第8号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 基本的施策等(第10条―第15条)
第3章 伊勢市男女共同参画審議会(第16条―第18条)
第4章 雑則(第19条)
附則
前文
私たちが目指す社会は、性別による差別がなく、男女それぞれがパートナーとして互いに人権を尊重しつつ責任を分かち合い、個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会であり、その実現は、本市の重要課題のひとつです。
男女共同参画社会を実現するためには、いまだに存在する性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく制度、慣行等男女共同参画社会の実現を妨げる要因を解消する必要があります。
さらに、男女共同参画の視点をもち、国際化、情報化、少子高齢化等社会の急激な環境変化に速やかに対応しながら、社会のあらゆる分野において男女の人権を十分に尊重していかなければなりません。
また、男女がその個性と能力を主体的に発揮することができ、それぞれの多様な生き方が認められ、互いを思いやり、すべての人が自立する社会を目指す取組を進めることも必要となります。
このような理念から、私たちは、家庭、学校、職場、地域等社会の様々な分野において、市、市民、事業者及び教育者が協働して、男女共同参画社会の形成促進を図り、男女が性別にとらわれることなく、共に生き生きと個人の特性や能力を発揮できる伊勢市をつくるため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市における男女共同参画の推進について、基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、社会のあらゆる分野において、市、市民、事業者及び教育者が協働して、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、男女が共に生き生きと暮らすことのできる社会をつくることを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において「男女共同参画」とは、男女一人ひとりが、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されることにより、均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいいます。
2 この条例において「積極的改善措置」とは、社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいいます。
3 この条例において「市民」とは、市内に居住する者、市内で働く者、市内で学ぶ者及びその他市内で活動するすべての者をいいます。
4 この条例において「事業者」とは、本市の区域内に事務所又は事業所を有する個人、法人その他団体をいいます。
5 この条例において「教育者」とは、家庭教育、学校教育、生涯教育その他あらゆる教育や学習に携わる者をいいます。
(基本理念)
第3条 本市における男女共同参画は、次に掲げる事項を基本理念(以下「基本理念」といいます。)として推進されなければなりません。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が均等に確保されることその他男女の人権が尊重されること。
(2) 男女が、性別による固定的な役割分担等に基づく制度又は慣行にとらわれることなく、自立した個人として、自己責任に基づく自由な意思によって生き方を選ぶことができるとともに、多様な生き方及び個性が互いに尊重されること。
(3) 男女が、社会の対等な構成員として、市の政策並びに社会のあらゆる分野における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 男女が、互いの協力及び社会の支援のもとに、育児、介護等の家庭生活とこれ以外の職業生活、地域生活その他生活との両立ができること。
(5) 男女共同参画の推進と密接な関係を有する国際社会の動向に留意すること。
(市の責務)
第4条 市は、男女共同参画の推進を主要な施策とし、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施しなければなりません。
2 市は、あらゆる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければなりません。
3 市は、男女共同参画の推進に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、国及び県と連携又は調整を図るとともに、他の地方公共団体との連携に努めるものとします。
4 市は、男女共同参画の推進に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、市民、事業者、教育者及び関係団体との連携に努めるものとします。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、学校、職場、地域その他あらゆる場において、男女共同参画の推進に寄与するよう努めるとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければなりません。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し男女が共同して参画する機会を確保するとともに、職場における活動と家庭、地域等における活動を両立することができる職場の実現に取り組み、男女共同参画の推進に努めなければなりません。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めなければなりません。
(教育者の責務)
第7条 教育者は、男女共同参画を推進する上での教育の果たす役割の重要性を認識し、基本理念に基づき、教育を行うよう努めなければなりません。
(禁止事項)
第8条 すべての人は、いかなる場合においても、他人に身体的又は精神的な苦痛を与える行為が、人権を侵害する行為であることを認識し、主に次の行為をしてはなりません。
(1) 性別を理由とした差別的な取扱いをすること。
(2) 相手の意に反した性的な言動により、相手の尊厳を傷つけ、又は不利益を与えること。
(3) 配偶者、恋人その他親密な関係にある者に身体的又は精神的な苦痛を与える暴力行為又は暴力的な言動をすること。
(パートナーの日)
第9条 市民、事業者及び教育者の間に広く男女共同参画に関する理解と関心を深めるとともに、男女共同参画の推進に関する取組が積極的に行われるようにするため、男女が互いに思いやる日としてパートナーの日を設けます。
2 パートナーの日は、毎年8月17日とします。
3 市は、第1項で定めるパートナーの日の趣旨にふさわしい事業を実施し、広く市民、事業者及び教育者の参加を求めるものとします。
第2章 基本的施策等
(基本計画)
第10条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」といいます。)を定めなければなりません。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めます。
(1) 男女共同参画の推進に関する施策の大綱
(2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、市民、事業者及び教育者の意見を反映することができるよう適切な措置を講じるものとします。
5 市長は、基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければなりません。
6 前3項の規定は、基本計画の変更について準用します。
(積極的改善措置等の必要な措置)
第11条 市は、執行機関である委員会の委員、附属機関である審議会等の委員その他の構成員を任命し、又は委嘱する場合にあっては、積極的改善措置を講じることにより、できる限り男女の均衡を図るものとします。
2 市は、事業者がその事業活動において積極的改善措置その他男女共同参画を推進するための措置を講じようとする場合には、当該措置に必要な情報の提供その他の支援を行う等適切な措置を講じるよう努めるものとします。
(苦情又は相談の申出への対応)
第12条 市長は、性別による人権侵害又は男女共同参画の推進に関する施策若しくは男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民、事業者又は教育者から苦情又は相談の申出があった場合には、適切な措置を講じるように努めます。
2 市長は、前項の申出への対応に当たり、必要と認めるときは、審議会の意見を聴くものとします。
(推進体制の整備)
第13条 市は、関係部局の連携により男女共同参画の推進に関する施策を円滑かつ総合的に推進するため、庁内における推進体制を整備します。
(表彰)
第14条 市長は、他の者のモデルとなる男女共同参画の推進に関する取組を行った事業者又は男女共同参画の推進に寄与した者について、審議会の意見を聴いて、これを表彰することができます。
(年次報告)
第15条 市長は、毎年、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について、報告書を作成し、これを公表しなければなりません。
第3章 伊勢市男女共同参画審議会
(伊勢市男女共同参画審議会の設置)
第16条 本市に、伊勢市男女共同参画審議会(以下「審議会」といいます。)を置きます。
(所掌事務)
第17条 審議会は、次に掲げる事務を行います。
(1) 基本計画に関し、第10条第4項に規定する事項を処理すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、市長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する基本的な方針、基本的な政策及び重要事項を調査及び審議すること。
(3) 前2号に規定する事項に関し、調査及び審議し、必要があると認めるときは、市長等の執行機関に対し、意見を述べること。
(4) 市が実施する男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について、市長等の執行機関に対し、意見を述べること。
(組識等)
第18条 審議会は、委員16人以内で組織します。
2 委員の数は、男女のいずれか一方の数が10分の4未満とならないようにしなければなりません。
3 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱します。
(1) 市民
(2) 知識経験を有する者
(3) 関係団体又は公共的団体から推薦された者
(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が特に必要があると認める者
4 委員の任期は、2年とします。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とします。
5 委員は、再任されることができます。
6 審議会は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、市の機関その他の関係者に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができます。
7 この章に定めるもののほか、議事の手続その他審議会の運営に関し必要な事項は、規則で定めるものとします。
第4章 雑則
(委任)
第19条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定めるものとします。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年4月1日から施行します。
(伊勢市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 伊勢市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成17年伊勢市条例第36号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(平成29年3月31日条例第6号抄)
(施行期日)
1 この条例は、平成29年4月1日から施行する。