○伊勢市犯罪被害者等支援条例

令和3年3月31日

条例第2号

(目的)

第1条 この条例は、犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号。以下「法」という。)に基づき、犯罪被害者等の支援に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等の支援のための施策の基本となる事項を定め、犯罪被害者等が必要とする施策を総合的に推進することにより、犯罪被害者等が受けた被害の早期回復及び軽減を図るとともに、犯罪被害者等を支える地域社会の形成を図り、もって市民が安全で安心して暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 犯罪等 法第2条第1項に規定する犯罪等をいう。

(2) 犯罪被害者等 法第2条第2項に規定する犯罪被害者等をいう。

(3) 関係機関等 国、三重県その他の地方公共団体、犯罪被害者等の支援を行う民間の団体その他犯罪被害者等の支援に関係するものをいう。

(4) 事業者 市内で事業活動を行う者をいう。

(5) 二次被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、周囲の偏見や心無い言動、プライバシーの侵害、インターネットを通じて行われる誹謗ひぼう中傷、報道機関等による過剰な取材等により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、身体の不調、経済的な損失等の被害をいう。

(基本理念)

第3条 犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等が個人としての尊厳を重んぜられるとともに、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利が尊重されるよう、犯罪被害者等の立場に立って適切に推進されなければならない。

2 犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等が受けた被害又は二次被害の状況及び原因、犯罪被害者等の置かれている生活環境その他の事情に応じて、適切に推進されなければならない。

3 犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう、必要な支援が途切れることなく行われなければならない。

4 犯罪被害者等の支援は、市、市民、事業者及び関係機関等が相互に連携し、及び協力して推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、関係機関等との適切な役割分担を踏まえ、犯罪被害者等の支援のための施策を策定し、及び実施するものとする。

2 市は、犯罪被害者等の支援のための施策が円滑に実施されるよう、犯罪被害者等の支援に係る体制の整備に努めるものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等の置かれている状況、犯罪被害者等の支援の必要性及び犯罪被害者等を地域社会で支え合うことの重要性について理解を深め、二次被害を生じさせることのないよう十分に配慮するとともに、市及び関係機関等が実施する犯罪被害者等の支援のための施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等の置かれている状況、犯罪被害者等の支援の必要性及び犯罪被害者等を地域社会で支え合うことの重要性について理解を深め、二次被害を生じさせることのないよう十分に配慮するとともに、市及び関係機関等が実施する犯罪被害者等の支援のための施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、その雇用する者が犯罪被害者等となった場合は、当該犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に関与することができるよう、その就労について十分に配慮するよう努めるものとする。

(相談及び情報の提供等)

第7条 市は、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、関係機関等との連絡調整を行うものとする。

2 市は、犯罪被害者等の支援に関する相談を総合的に行う窓口を設置するものとする。

(日常生活等の支援)

第8条 市は、犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるよう、次に掲げる施策を講ずるものとする。

(1) 犯罪等の被害により日常生活を営むための家事等の支援を要する場合に、適切なサービスが提供されるよう必要な支援を行うこと。

(2) 犯罪等の被害により従前の住居に居住することが困難となった場合に、転居に要する費用の助成その他必要な支援を行うこと。

(3) 犯罪等に起因する経済的負担の軽減を図るため、支援金の支給を行うこと。

(4) 犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、関係機関等と連携し、犯罪被害者等が置かれている状況について事業者の理解を増進するための措置その他必要な措置を行うこと。

(広報及び啓発)

第9条 市は、犯罪被害者等の置かれている状況、犯罪被害者等の支援の必要性及び二次被害の発生の防止の重要性について、市民及び事業者の理解を深めるため、広報及び啓発を行うものとする。

(人材の育成)

第10条 市は、犯罪被害者等の支援の充実を図るため、相談、助言、日常生活の支援その他の犯罪被害者等の支援を担う人材の養成及び資質の向上のために必要な措置を講ずるものとする。

(支援を行わないことができる場合)

第11条 市は、犯罪被害者等が犯罪等を誘発した場合その他の犯罪被害者等の支援を行うことが社会通念上適切でないと認められる場合は、犯罪被害者等の支援を行わないことができる。

(委任)

第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、令和3年4月1日から施行する。

伊勢市犯罪被害者等支援条例

令和3年3月31日 条例第2号

(令和3年4月1日施行)